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無駄吠えは無駄ではない??
犬の気持ちを理解して吠え癖を直そう

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「うちの子は理由もなくよく吠える」「どうすれば吠えがなくなるんだろう」と悩んでいる飼い主さんは多いと思います。俗にいう「無駄吠え」は、本当に無駄なのでしょうか。出張専門のドッグトレーニングを行う「Dog index(ドッグインデックス)」のトレーナー西川真喜子さんは、「人間が思っている無駄吠えは、犬にとっては無駄ではなく、必ず理由があって吠えています。まずその理由を探ることが、吠えを改善する第一歩です」と話しています。実際にどのように対処すればいいのか、また、ドッグトレーナーさんにお願いするメリットについても伺いました。

1.なぜ吠えてしまうのでしょうか。

犬の吠えには、警戒やストレス、興奮からのフラストレーション、恐怖や体の不調、要求など、さまざまな理由があります。例えば1匹でいるのが苦手な子は、お留守番中ずっと吠えてしまう、飼い主さん側は無駄に吠えていると思いますが、犬にとっては不安が抑えられない状態なので吠えてしまうわけです。

また、要求で吠えている子は、以前に吠えたらその要求が通った経験があるのかもしれません。恐怖で吠える子は、過去に他の犬から襲われたり、吠えられたりした経験がトラウマになっていることもあります。

元々犬は、吠える動物で、吠えて私たちに多くのことを知らせてくれる本能があります。つまり、単に「吠える」という行動の裏には、さまざまな理由が潜んでいるわけです。無駄吠えだと思っているのは人間側の都合で、犬たちにとっては必要があって吠えているので、まずそこを理解した上で、それでも生活上困るほどの「吠え」に関しては直していくことが必要です。吠えているという状態は、犬たちにとって決して心が穏やかな状態ではないからです。

2.どんな子が吠えやすいのでしょうか。

小さい犬種は、精神的に怖がりなところがあり、飼い主さんが見えなくなると分離不安で吠えることがあります。また、ペットショップなどの生体販売の問題も潜んでいます。生まれた直後から他の犬と適切に関わる機会が薄いと、どうしても吠えやすくなってしまいます。

海外では家や庭も広く、犬たちの運動量も確保されているのでストレスが少ないですが、狭い日本の家屋で飼われている犬は、適切な運動量が確保されていないことが多く、それらも吠える原因になります。また、猟犬などの持って生まれた遺伝的な要因や、親犬が吠える子だとその子犬も吠えやすくなります。

通常、子犬は生後6〜7カ月を過ぎた頃から警戒や要求で吠えることが増えるのですが、この吠えが生後3〜4カ月で出る子は、成長しても吠えることが多くなります。

吠えについては、早い段階で手を打ったほうがいいのは言うまでもありません。トレーニングで性格が変わるわけではありませんが、早く対処することで、何もしないよりは吠えなくて済む領域が広がるようになります。

3.どのような方法で吠えを軽減すればいいのでしょうか。

まず何が原因で吠えるかを探ることが重要です。私たちも「いつ」「どこで」「何に対して」「どのくらい吠えていたか」を飼い主さんと一緒にチェックするところから始めます。実際に吠えているシーンを飼い主さんに動画で撮影してもらい、他の犬が怖いのか、それとも嬉しくて吠えているのかなどを判断します。

よく、吠えたら無視しましょうというのがありますが、必ずしも有効とは限りません。また、大きい音を立てて鳴き止ませるという方法も、確かに吠えたら怖い思いをするというのを学習するかもしれませんが、原因が解消されているわけではないので、必ずどこかに歪みが表れてくることが多く、最悪の場合、健康上に影響が出てしまうこともあります。

4.ドッグトレーナーにお願いするメリットについて教えてください。

私たちは必ず飼い主さんと一緒にトレーニングを行います。その中で多いのが、「うちの子は臆病だから」というように、飼い主さんの視点でレッテルを貼りがちなことです。ドッグトレーナーは数多くの犬を見てきているので、客観的な視点で確認することができ、今まで気づかなかった別の要因を見つけることができます。

犬の行動は飼い主さんとの関係で変わってくることも多いので、実際は、犬を直接直すというよりも、飼い主さんの行動を変えて犬の行動を直すという形です。ですから、7〜8割は飼い主さんに向けたトレーニングが多いと思います。

例えば、お散歩で玄関を出るときから何かにずっと吠えていたチワワのケースでは、飼い主さんが上着を着て、首輪をつけて荷物を持って、さぁ行きますよとなると興奮がMAXに達して吠えてしまっていたので、支度をしたら家の中で少し遊んでガス抜きをしてから出かけるようにしたら、全然吠えなくなりました。

地味なことなのですが、普段の飼い主さんの行動を入れ替えるだけで吠えがなくなることはよくあります。

5.ドッグインデックスさんの特徴はどのようなことでしょうか。

出張形式のドッグトレーニングを行なっていて、おおむね1時間以内で移動できる範囲であればお伺いしています。ホームページの問い合わせフォームからご連絡いただき、最初は、1時間のカウンセリングを行います。特に吠えは、成犬の悩みで一番多いので、私たちのトレーニング方法の紹介や現在のワンちゃんの状況を拝見して、すぐにできることがあればアドバイスさせていただきます。

年齢や個体差はありますが、保護犬でもトレーニング可能です。過去の記憶にトラウマがあると、新しい経験で上書きをしてあげないといけないので時間がかかりますが、それを理解してトレーニングを行えば必ず改善します。

さらに私たちは、一緒にレッスンを受けている他の飼い主さんと、合同でレッスンする時間も設けています。お互いに課題を持って集まっているので理解しやすいですし、私たちトレーナーも飼い主さんの性格を知っていますので、馴染ませやすいです。年に1回、旅行も企画しているので、トレーニングを通して犬仲間ができるのは楽しいですよね。

6.せっかくトレーニングしたのに元に戻ってしまうこともあるのでしょうか。

中にはありますね。新たな吠えが生まれてしまうこともあります。トレーニングは一生涯の接し方だと思って、継続して行うことが非常に重要です。1人での継続が難しいのであれば、何カ月かに一度でもいいのでドッグトレーナーと会う機会を設けるとか、また、私たちはグループセッションという場を月に1回設けているので、こうした場に足を運んでもらえれば、定期的なリマインドになります。

7.逆に吠えを予防することはできますでしょうか。

生後3〜4カ月くらいまでが、精神的にも柔軟な時期なので、この時期に適切なレベルで社会勉強をさせてあげることが重要になります。ちょっと怖いけど大丈夫だったねという経験をたくさんさせてあげると安定した子に育ちます。例えば、その子が将来車や電車に頻繁に乗ると想定できるのであれば、小さい頃からキャリーバッグに当たり前のように乗せて、これに乗ったらお出かけだよというのを覚えさせておけば「恐怖で吠える」ことの予防になります。心が安定していれば、ちょっと驚くことがあってもすぐに回復できるので、吠えることが少なくなります。

8.普段どのような心がまえで犬に接するのが良いのでしょうか。

最初に、基本的な衣食住が満たされているかどうかを確認してください。ご飯の量は適切か、健康状態はどうか、十分な睡眠が取れているかも重要です。常にお客さんが出入りしていたり、お子さんが騒いでいて寝られなかったりすると、どうしてもストレスが溜まります。あとは犬たちの性格や体格に対して、運動量が適切かも大事です。

犬の気持ちを全部優先するのではなく、飼い主さんの生活をきちんと守って、その上で犬と一緒に暮らすというスタンスが大事です。同じ生活空間をシェアするのですから、犬に合わせてもらったり、私たちが合わせたりしてうまく落とし所を見つけ、適度な距離感を保つことが犬の心の安定につながります。

くらし・マナー, くらし・マナー

西川 真喜子 (にしかわ まきこ)

Dog indexドッグトレーナー 神奈川県担当

The International College of Canine Behavioral Science
Tracking Course 修了
愛玩動物看護師
愛玩動物飼養管理士
愛犬飼育管理士
DOGSAFE Canine First Aid

「イヌとオーナーさんの笑顔を少しでも増やす!」という目標のために、バンクーバーへ渡航。現地のドッグトレーナー養成学校で「おやつや体罰を使わない」オーナーさんとイヌの絆をつくる、というトレーニング方法を学ぶ。卒業後はドッグウォーカーや、Dog daycare(犬の預かり施設)に勤務。帰国後、動物病院での勤務を経験。

▼SNS(リンク先)
おやつを使わないドッグトレーニング
Instagram_dogindexmakiko

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