自宅でできる愛犬の爪切り、ここがポイント!
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愛犬の爪切りは定期的に行う必要があります。「うちの子はよく散歩に行くので大丈夫!」と思い込んで放置すると、後で痛い思いをさせてしまうことになりかねません。爪切りの方法や注意点など、ポイントを押さえれば、動物病院やサロンに行かなくても自宅で手入れが可能です。今回は、自宅でできる愛犬の爪切りについて、東京ペットホーム(東京都大田区)の手柴友里さんにお聞きしました。
1.なぜ爪切りが必要なのでしょうか。
人間の爪は伸びても比較的まっすぐに伸びますが、犬の爪は伸びるほど丸まっていき、そのままにすると肉球に刺さって出血してしまうことがあります。さらに血管も一緒に伸びてくるので、爪を伸ばしすぎると、やむを得ず血管ごと切らなければならなくなります。愛犬に痛い思いをさせないためにも、定期的な爪の手入れは必ず行ってください。
また、お散歩でアスファルトを歩くと自然と爪が摩耗すると思いがちですが、歩き方や前後の足、指によっても摩耗の仕方は全く違います。特にシニアになると活動量も減るので、こまめにチェックする必要があります。
フローリングを歩いたときに、コツコツと音がしたら爪切りのサインだといわれますが、全く音がしない爪はかなり短い状態です。実際はそこまで短くしなくても大丈夫なので、1カ月に1回というように、その子に合わせたサイクルで爪切りをしてあげましょう。
2.爪切りに必要な道具
①ペット用の爪切り
爪を穴に入れてグリップを握って切るギロチンタイプ、ハサミのように使うニッパー、少しずつ削る電動やすりなどがあります。プロのトリマーさんも使用する、軽い力で爪を切ることができるギロチンタイプがおすすめです。
②ペット用の爪やすり
尖った部分を丸く仕上げるために使用します。人間用は粗いので必ずペット用を使用しましょう。
③止血剤
うっかり出血させてしまったときのために用意しておくと安心です。
3.実際の爪切りの仕方
犬の爪は、白い爪と黒い爪があります。同じ犬種でも、個体によって黒い爪の子もいれば白い爪の子、また両方がある子もいます。
白い爪は血管が透けて見えるので切りやすいのですが、黒い爪は血管が見えないので、慎重に切っていく必要があります。
1.爪切りがしやすいようにペットを動かないようにおさえる
1人で行う場合は、上図のように犬を後ろ向きにさせて、利き手と反対側の脇に挟むようにします。こうすると爪を切っている様子が犬から見えないため、暴れたり噛まれたりする心配がありません。
そのまま挟んでいるほうの手で後ろ足を持ち上げ、利き手に持っている爪切りで切っていきます。軽く肉球を押すようにすると、爪が見やすくなります。
前足も同じ状態で切ります。
2.爪の切り方
※白い爪の場合
透けて見える血管を避けて、伸びている先端を切り(①)、周囲の角を軽く落とします(②、③)。そのままだと切った部分が尖っていて皮膚を傷つけてしまう恐れがあるので、ヤスリで丸く整えます(④)。
※黒い爪の場合
黒い爪を切るときは、カットした断面を見ます。ちょっと湿った感じで半透明に変わったら、血管が近いのでそれ以上切らないようにしましょう(Aのライン)。
狼爪(ろうそう)も忘れずに
狼爪とは、前足や後ろ足の内側にある爪です。犬の祖先とされている狼のころの名残だと言われていて、前後全ての足にある子もいれば、前足だけ、後ろ足だけに狼爪がある子もいます。狼爪は地面に接しないため、必ず手入れが必要です。
4.切り過ぎて出血してしまったら
もし、深く切り過ぎて出血してしまったら、止血剤を指で取って、出血している爪に埋め込みます。ティッシュペーパーやコットンでは、繊維が付着してしまうのと、何かのきっかけで再度出血することがあるので、必ず止血剤使って止血しましょう。
5.爪切りを嫌がる子はどうすればいいか
以前に、爪切りで血管を切られてしまったことがあり、嫌な思い出がトラウマになっているのかもしれません。爪切りを見て怖がる子には、ヤスリを使って少しずつ削っていったり、おやつをあげながら切ったりしてみてください。
時間がある場合は、足先に触ることから始めて、少しずつ慣れさせていきましょう。伸び過ぎていてやむを得ない場合は、動物病院に連れていくしかありませんが、口輪をはめる場合もあるので、怖い思いをさせてしまうことになりかねません。可能な限り飼い主さんが手入れをできるようにしてあげてください。
6.まとめ
爪が伸びるスピードは、その子によって違います。1カ月に一度でいい子もいれば、半月に1回は切らないといけない子もいます。爪切りのコツは、手早く行うことです。飼い主さんが怖いと思いながら切ると愛犬にも伝わってしまうので、普段からまめに手入れをして慣れておきましょう。そして、爪切りをおとなしくさせてくれたら、たくさんほめてあげてください。
爪の手入れは愛犬の生涯にわたって必要です。嫌いな子にさせないよう、子犬の頃から足先に触れたり爪切りの道具を見せたりして、慣れさせておくのがいいでしょう。
健康, 健康
手柴友里 (てしば ゆうり)
老犬老猫ホーム 東京ペットホーム ドッグホーム店長
神奈川県出身。動物介護ホーム施設責任者/動物介護士/動物医療技術師/トリマーペットスタイリスト/コンパニオン・ドッグトレーナー 動物看護大学で動物医療を4年間学び、保護施設と老犬ホームで看護の知識を活かしながら6年間介護に携わる。2023年よりドッグホーム店長に就任。介護だけでなくトリマーとしての視点から、1匹1匹に合った動物たちの衛生面のケアやストレスをかけない介護を行う。現在まで約200匹の老犬を介護し、看取りも40匹ほど行なっている。