愛犬の歩き方がおかしい??
関節炎のサインを見逃さないために
目次
「愛犬が以前のように散歩に行きたがらなくなった」「あんなにボール遊びが好きだったのに、この頃はのろのろとしか動かない」「年齢のせいで遊びに興味がなくなったのかな?」—そんなことを一度でも感じたら、まず関節炎を疑ってみてください。人間同様、ペットにも関節炎があり、特に犬の場合は、活発な大型犬ほど関節炎を起こしやすいと言われています。今回は愛犬の関節炎に早く気づくにはどうすればいいか、早期発見のサインと予防法についてご紹介します。
1.関節炎ってどんな病気?
関節は、骨と骨のつなぎ目部分を指し、靭帯という伸び縮みする組織でつながれています。動くときに骨同士があたらないよう、軟骨がクッションの役目を果たしています。この関節のおかげで体をしなやかに動かすことができ、ワンちゃん達は元気にお散歩に出かけたり、飼い主さんと一緒に、ボール遊びで思いっきりジャンプをしたりできるのです。
ところが、年齢とともにだんだんと軟骨がすり減ってくると、関節を構成する周囲の組織に影響が及んで、痛みなどが出るようになります。これが関節炎です。
2.どこの関節に起こりやすいの?
犬の場合は、肩関節や肘関節、手根(しゅこん)関節、後ろ足の股関節や膝(しつ)関節、足根(そっこん)関節などに発症しやすく、人間で例えると、肩や肘、手首、股関節、膝、足首といった場所に相当します。
特に、大型犬は小型犬と比べて体重があるので関節炎のリスクが高く、ゴールデンレトリバーやラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパード、ドーベルマンなど、多くの大型犬は注意が必要です。また、大型犬でなくても、肥満傾向にあるワンちゃんも要注意です。
年齢的には、8歳を超えると急激に発症のリスクが高まります。人間で言うと、60歳を超えた頃です。
3.見逃さないで!痛みのサイン
ワンちゃん達は言葉で症状を訴えることができません。関節炎の初期症状は、普段一緒に生活している飼い主さんしか気付いてあげられないのです。
ところが、うちの子はいつも元気だからと思い込んでいる飼い主さんが多く、ワンちゃん達が発している痛みのサインをどうしても見落としがち。以下のようなことに、思い当たる節はありませんか?
- 朝起きたときにヨタヨタする
- 散歩に行きたがらなくなった
- 走ろうとせず、ゆっくり歩くようになった
- 階段を降りるときに、こわごわ降りるようになった
- 車の乗り降りを嫌がるようになった
- 散歩に行くと急にしゃがみ込んで動かなくなる
- 立ち上がるときに辛そうにする
- 足を引きずるなど、歩き方がおかしい
- 関節を舐めるようになった
4.初期症状に早く気付いてあげるにはどうすれば?
定期的に歩き方のチェックをする
歩き方の異変は散歩のときに気づきやすいのですが、リードを引いている飼い主さんには意外と分かりづらいものです。そこで、別の人に、ワンちゃんの前後から歩き方を見てもらったり、スマートフォンで撮影してもらって確認したりしてみましょう。ワンちゃんとの楽しい散歩風景を記録するつもりで、同じ視点から撮影すると比較しやすくなります。
スキンシップを怠らないようにしよう
毎日、ワンちゃんとのスキンシップを欠かさないようにしましょう。全身を撫でてあげながら、関節を触ったり曲げたりして痛がることがないかを確認しましょう。スキンシップは、ワンちゃんと飼い主さんの信頼関係が深まるだけでなく、関節炎やその他の病気の発見にも役立ちます。
5.関節炎の予防のためにできることは?
ワンちゃん達に少しでも健康でいてもらうために、身近なことから関節炎の予防をしていきましょう。
1)適切な体重管理
これは最重要項目です。必ず適切な量のドッグフードを与えましょう。肥満は禁物です。「欲しがるからついあげてしまう」は、結局、ワンちゃん達を苦しめてしまうことになります。ワンちゃんの体重管理も、飼い主さんの大事な務めです。
2)適度な運動が必要
関節にかかる負担を軽減するには、関節周りの筋肉を鍛えて、ワンちゃんの体重をしっかり支えられるようにすることが大切です。朝晩の散歩は欠かさないようにしましょう。激しい運動や、高い場所から飛び降りるなどの動作は、関節に負担がかかるので注意しなくてはいけません。
3)元気なうちから動物病院に相談をする
ワンちゃん達は、大好きな飼い主さんを心配させまいとして、少しくらい足が痛くても頑張って歩こうとします。おかしいと思うことや、気になることがあったら、すぐにかかりつけの動物病院を受診するのはもちろんですが、元気なうちから関節炎の予防について、事前に相談しておくといいでしょう。犬種ごとの発症しやすい部位についても詳しく教えてくれます。また、関節を保護するプロテクターも色々と出ているので、相談してみるといいでしょう。
関節炎が進行すると、ワンちゃんは痛みのために食欲不振に陥り、やがて全身の健康に影響が及んでしまうこともあります。年齢とともに運動量が減るのは、歳のせいだけではないことを知っておきましょう。飼い主さんが関節炎のことを知っているだけで、早期発見に一歩近づくのです。
最愛の家族といつまでも一緒に暮らせるように、普段の生活の中でワンちゃん達が発する小さなサインを見逃さないようにしましょう。
健康, 健康