<前編>シニアペットトータルケアアドバイザーがご紹介!役に立つ犬の介護用品(車椅子、介護クッション編)
目次
ペットの高齢化が進むと、避けて通れないのが介護問題です。医療や生活環境が整い長寿になった反面、人間と同じように足が弱ってきたり、食事がむせたりするなどの症状があらわれます。高齢になってもペットが快適に過ごせるように、できるだけのことはしてあげたいと思う飼い主さんも多いと思います。今回は、介護用品の販売やレンタルを行う「犬ともクラブ」(東京都中野区)のシニアペットトータルケアアドバイザー金田敬子さんに、役にたつ犬の介護用品をご紹介いただきました。
1.後ろ足から始まる足の老化
犬の老化は80%が後ろ足から始まるといいます。四足歩行のワンちゃんは、体重の約6割を前足で支え、4割を後ろ足で支えています。そのため高齢になると、後ろ足から弱ってきて、よろけたりつまずいたりすることが多くなります。歩くためのリハビリとサポートを行うのが犬用の車椅子やハーネスです。
犬の車椅子(K9カート)
※二輪タイプの車椅子
アメリカの獣医師が、ワンちゃんのリハビリ用に開発した車椅子。このカートのメリットは、ワンちゃんの症状に合わせてパーツを付け替えることができることです。
例えば、最初は後ろ足用の二輪の車椅子から始め、前足も弱ってきたら、前輪を足して四輪の車椅子にして、前足のサポートも可能になります。逆に、四輪の車椅子から始めて、徐々に筋肉が付いて歩けるようになり、二輪になる子もいます。サイズはXSからXLまで。(XL以上の子はご相談ください)※前輪のパーツを足して四輪タイプに
【選ぶときのポイント!ここが大事】
必ず採寸をしてワンちゃんの体に合った車椅子を選ぶこと。ワンちゃんは歩き方も違えば、胴や足の長さもみんな違います。また、年齢とともに歩き方や体型も変化します。こうした体の変化に合わせた調整が可能かどうかも選ぶときのポイントにしましょう。
犬ともクラブでは、店内での採寸に加えて出張での採寸も行っています。車椅子の調整士さんが常駐しているので、日々のワンちゃんの様子を聞きながら、その場でワンちゃんの体に合わせて車椅子を組み立ててくれます。さらに、試乗の際は姿勢や歩き方もチェックし、微調整を行います。体に合った車椅子がどれだけワンちゃんたちにとって大事かということを良く知っているからです。こうしたきめ細かいサポート体制が整っていることも選ぶときの大事なポイントです。
金田さんは「ちょっとした調整で、ワンちゃんの歩行が劇的に変化することがあります」と話します。ワンちゃんの体に合った車椅子は、筋肉維持のトレーニングや、歩く機能を回復させるリハビリにもなるということです。
近年は「愛犬の歩行に変化が出てきたな」と飼い主さんが感じると、早めに相談に来てくれるケースが増えたそうです。
あるとき、「愛犬が座り込むことが多くなってきて」と、飼い主さんとワンちゃんが来店しました。しっかりと採寸して体に合う車椅子を提案したところ、半月ほどで車椅子無しでも歩けるようになったそうです。また、四輪の車椅子に乗せてもなかなか歩くことのできなかった子が、1カ月後に自分の足で店内まで入ってきたケースもありました。
「正しい姿勢で歩かせてあげることで、神経への伝達が改善され、後ろ足にも良い影響が出ると言われています。車椅子に乗ることで立ったり歩いたりができるようになり『表情が明るくなった』と嬉しいお声も多くいただいています」と金田さん。
歩行ハーネス(前足補助、胴体補助、後足補助)
足の機能が低下したワンチャンの機能回復のために、訓練用として開発されたハーネスです。バックルやマジックテープで取り付けが簡単にでき、持ち手を飼い主さんが支えることで、お散歩の際のよろつきやケガの予防、トイレや階段でのサポートができます。生地も耐久性や耐重性に優れているネオプレン素材で、皮膚ずれが起きにくいのが特徴です。同じ素材のメッシュタイプで持ち手の長さが変えられるものもあります。
しっかりと支えるためには、ワンちゃんの体にぴったり合うサイズを選びましょう。サイズが合わないと、サポートの際にワンちゃんの体が安定せず、逆に負担をかけることになり、飼い主さんの腰や背中を痛めてしまう原因にもなります。
2.四肢が弱くなったワンちゃんに
姿勢サポートクッション
高齢で四肢が弱ってくると立位姿勢が取りづらくなり、寝ていることが多くなります。すると、めまいを起こしやすくなったり、床ずれができやすくなったりします。また、年齢とともに飲み込む力も弱くなるので、食事の際に誤嚥を起こしやすくなります。そんな子たちのための専用のクッションです。このクッションは、ベースクッション(横に長い部分)とサイドクッション(左右から体を支えるクッション)を組み合わせて使用します。しっかりとした体圧分散タイプの素材でできていて、四肢が弱ったワンちゃんを正しい姿勢で保定します。
その状態のまま食事も可能です。自然に立った状態で食事ができるので、誤嚥防止にもなり、立位なので床ずれ防止にもなります。また、足腰の筋肉維持にも役立ちます。サイズはS〜Lまで。
柔らかい素材の姿勢サポートクッション(リラクッション)
一体型のビーズクッションです。普段使うクッションのような感覚で使用できます。頭部が広く、ワンちゃんの頭がずれないので、このままの姿勢で寝てしまう子も多いそうです。ただし洗濯はできないので、表面が汚れた場合は、水または中性洗剤で汚れを拭き、乾いた布で十分拭き取ります。別売りで洗濯可能なカバーもあります。サイズはS〜LLまで。
【選ぶときのポイント!ここが大事】
どちらのクッションも、サイズ選びが非常に重要になります。「体重」「床から胸部までの高さ」「胴体の長さ」などを基準にしますが、ワンちゃんの体の状態によっては合わないということもあります。犬ともクラブでは、どちらのクッションが良いかを、金田さんがワンちゃんの状態を見てアドバイスしてくれます。
3.ワンちゃんが自ら動けるようにすることが大事
筋肉は動かさないとどんどん硬くなってしまい、余計に動かなくなってしまいます。動けるうちは、ワンちゃんが自分から動かすことができるように工夫をすると、筋肉の維持に役立ちます。
「ペットの介護用品は、以前に比べると格段に進歩してきています」と話す金田さん。以前、自分の愛犬の具合が突然悪くなったときは、動物病院まで運ぶ手立てがなく、困った挙句に台車を借りて運んだそうです。
そのときの経験から、同じような思いをしている飼い主さんのために、ペットを乗せるバギーのレンタルを開始、その後も車椅子やさまざまな介護用品を扱い現在に至ります。
「昔に比べて、介護情報や介護用品も多くなり、必要なときにすぐに手に入れることができるようになりました。ただ、商品によっては間違った使い方をすると症状を悪化させてしまい、老化を早めてしまうこともあります。介護には決まった方法がありません。一番近くにいる飼い主さんだからこそ気付けることがたくさんあるので、その子に合った介護方法を一緒に見つけてあげたいと思います」
次回は、高齢のワンチャンにも安心して使えるケア用品や床ずれ防止のマット、便利な小物についてお聞きしていきます。
※記事内の商品については「犬ともクラブ」へ直接お問い合わせください。
健康, 健康
犬ともクラブ (いぬともくらぶ)
(左)車椅子調整士の橋本さん/(中央)金田敬子さん/(右)代表取締役の金田京子さん
(手前)愛犬の陸人(リクト)くん
◆取材にご協力いただいた「犬ともクラブ」について
住所:〒164-0014東京都中野区南台2-20-8 パラシオン南台1階
電話:0800-123-1122
営業時間:9時30分〜19時(月〜土曜)
◆リンク先
ペットの介護用品専門 愛犬サポート・犬ともクラブ