「犬吸い」「猫吸い」好き必見!あなたの健康を脅かす意外な危険性とは?
目次
愛犬家、愛猫家の間では「犬吸い」や「猫吸い」という言葉があるのをご存知ですか?「犬吸い」「猫吸い」はペットに対する愛情表現の一つで、愛犬や愛猫のフワフワの体に顔を埋めて匂いを嗅ぐ行為です。ペットとのスキンシップのために行っている飼い主さんも多いと思います。でもこれって健康的な問題は起こらないのでしょうか?心配になりますよね。また、「犬吸い」や「猫吸い」をされている愛犬や愛猫はどんな気持ちなのでしょうか。今回はそんな「犬吸い」「猫吸い」の注意点についてお伝えします。
1.「大好きだよ」の気持ちを込めた愛情表現の一つ
「犬吸い」や「猫吸い」の効果
「犬吸い」や「猫吸い」をすると、飼い主さんの脳内にはオキシトシンという幸せを感じるホルモンが分泌されます。
オキシトシンは「愛情ホルモン」や「抱擁ホルモン」とも呼ばれ、心を許せる相手やペットとのスキンシップ、マッサージなどの触覚刺激によって分泌されるといわれています。
例えば「犬吸い」は、シャンプーの香りやポップコーンのような匂いがしたり、「猫吸い」では、お日様に干した布団のような匂いや甘い匂いがしたり…幸せの匂いに心が癒されますよね。
特に疲れたときの「犬吸い」「猫吸い」は効果てきめん!フワフワの毛並みに顔を埋めることで、ストレスが解消され、多くの飼い主さんが癒されているのではないでしょうか。
2.実は「犬吸い」「猫吸い」にはリスクもある
動物由来感染症の危険性がある
動物由来感染症とは、動物から人間に感染する病気のことをいいます。少し怖い話かもしれませんが、「犬吸い」や「猫吸い」で、どのような病気に感染する危険性があるのかを具体的に知っておきましょう。
①皮膚糸状菌症
カビの仲間である「真菌」が感染する病気です。顕微鏡で見ると糸状の形に見えることからこの名前が付いています。免疫が落ちている犬や猫、高齢の犬や猫が発症しやすく、毛がちぎれたり脱毛したりといった皮膚症状を起こします。
人に移ると発疹や痒みが起こり、脱毛を起こすことがあります。
②パスツレラ症
「パスツレラ菌」は、犬や猫の口腔内に高い確率で存在する細菌で、噛まれたり引っ掻かれたりすることで感染します。数時間で傷口に激しい痛みや腫れが起こり、稀に重症化することもあります。
③トキソプラズマ症
「トキソプラズマ」は寄生虫の一種で、特に猫のフンに多く排出されます。猫は体を舐めて毛繕いをするので、「猫吸い」をすることで人間にも感染する恐れがあります。人に感染すると、発熱や倦怠感などの症状が表れることもあります。
④回虫症
こちらも寄生虫の一つで、犬や猫に寄生し、フンに卵が排出されます。「犬吸い」や「猫吸い」を通して人間にも感染する恐れがあります。
⑤アレルギー症状
「犬吸い」や「猫吸い」が、鼻水やくしゃみ、喘息などのアレルギー症状の原因になることがあります。動物アレルギーは年々増加傾向にあるといわれているので注意が必要です。
3.「犬吸い」「猫吸い」で人間からペットに移る病気もある
近年の研究で、人間の歯周病菌がペットたちに感染していることが示唆されています。1)人間の歯周病菌と同じ種類の歯周病菌が、犬の口腔内から検出されたためです。歯周病菌は唾液を介して移るので、「犬吸い」や「猫吸い」で愛犬や愛猫に移ることも考えられます。
可愛い家族なので、ついついスキンシップを取りたくなりますが、このようなリスクがあることもしっかりと頭に入れて、適切な衛生管理を心がけるようにしましょう。
4.ペットたちは「犬吸い」や「猫吸い」をされてどう思っている?
ひょっとすると我慢しているかもしれない
「犬吸い」や「猫吸い」をされる愛犬や愛猫は、大好きな飼い主さんのためならと渋々我慢しているかもしれません。例えば猫の場合、あまり心地良いものとは感じていないことが多いようです。逆に怒りを買って、猫パンチを浴びせられたという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
犬の場合は「犬吸い」をされて喜ぶケースと、「いい加減にしてほしい」と思うケースがあるようで、飼い主さんは愛犬のご機嫌を伺う必要がありそうですね!
また、スキンシップが苦手な子に無理に「犬吸い」や「猫吸い」を行うのは、ストレスの原因になるので注意が必要です。
5.まとめ ~過度な「犬吸い」や「猫吸い」はやめよう~
動物由来感染症のリスクを考えると、「犬吸い」や「猫吸い」はペットが持つ病原体を直接鼻から吸い込んでしまう恐れがあるので、ときには我慢することも必要です。
適切なスキンシップを心掛けてお互いの健康を守り、より良いペットライフを楽しんでもらえたらと思います。
(参考文献)
1)西山謙三他「ヒトと飼いイヌにおける歯垢中の歯周病原菌の検出」 神奈川歯学56巻1号 P10〜18 2021
健康, 健康