寝たきりの子の世話だけではない!
意外と知らない「ペット介護」の種類
目次
犬や猫などを対象にした獣医療は年々進化を続け、一昔前に比べるとペットたちの寿命は大幅に伸びました。
そのため、以前に比べるとペットの介護を行う飼い主も多くなっているのですが、実際に「ペット介護」と呼ばれるものにはどのようなものがあるかご存知ですか?
今回は、ペット介護の種類をご紹介します。
1.ペット介護は寝たきりの子に行うものだけではない
みなさんは「ペットの介護」と聞くと、どのような場面を想像しますか?
人にもよるかと思いますが、多くの方は自力で動けなくなった犬や猫の世話をする姿をイメージするのではないでしょうか。
一方で、人の介護でも同じことが言えますが、ペットの場合でも介護の種類は多岐に渡ります。
つまり、寝たきりのペットのお世話だけが「介護」ではないのです。
そのため、シニアペットをお世話している人の中には自分でも気づかないうちに「介護」と呼べることを行っている人もいるかもしれません。
ペット介護は、動物と暮らす人全員がいずれは行う可能性のあるものです。
まだ先のことだと感じる飼い主さんもぜひ「将来の話」だと思って、この記事を読んでいただけたら幸いです。
2.ペット介護の種類
ここからは、ペット介護にはどのようなものがあるのかを詳しくご紹介していきます。
ご紹介する事柄が全てではありませんが、ペットのいるご家庭ではぜひ参考にしてくださいね。
ペット介護1:トイレの介助
若い頃には何の問題もなく自分で排泄できていた子でも、シニアになり足腰の骨や筋肉が弱まってくると踏ん張ることが難しくなります。
中にはトイレまで自分で行けない子もいますし、かろうじて自力でうんちをしてもお尻周りの力が足りずに肛門周辺にうんちが残ってしまう子など、状況はさまざまです。
このように排泄の際に何かしらの問題がある子に対して、人の手で支えてあげたりお尻を拭いてあげたりするサポートを「トイレの介助」と言います。
また、トイレの介助には他にも、自力で排泄を行うことのできない子に対する摘便や圧迫排尿などもあります。
これらはペット介護の中でも特に配慮や工夫が重要となり、正しく行うためには知識も必要です。
飼い主さんは決して独断では行わず、必要に応じてかかりつけの獣医師から指導を受けましょう。
ペット介護2:食事の補助
自力でご飯を食べられなくなった子の場合、栄養補給のために人の手で流動食を与える必要があります。
流動食は市販されているものもありますが、食べ慣れたドライフードなどをお湯でペースト状になるまでふやかして与えることも可能です。
一方、「噛む」という行為は犬や猫にとって大切な行動ですから、人が安易にペットたちの噛む機会を奪ってしまうのは動物の本能を否定することにも繋がります。
例え寝たきりになった場合でもかろうじて自力で食べられる…というケースもありますから、飼い主さんが自己判断で流動食に切り替えるのは避けて、まずは獣医師の指示を仰ぎましょう。
また、自力で食べられる子の場合にもシニア期に合った食事を選んであげることが大切です。
ペットの内臓に負担をかけないため、フードの種類を変えたりお湯でふやかして柔らかくしたりなどの工夫を行なってください。
ペット介護3:バリアフリーに整える
犬や猫でも歳を重ねるにつれ、足腰が弱くなり関節炎が起きやすくなります。
そのため、コードやわずかな段差に躓きやすくなったり階段やソファを上ることができなくなったりする子も多くいます。
そこで、飼い主さんはペットの生活環境をバリアフリー化してあげることが大切です。
段差にペット用スロープを設置したり家電コードに躓き防止のカバーをつけたり、飼い主さんから見て「危険だ」と感じる箇所に工夫を行うこともペット介護の1つですよ。
特に階段は転倒だけではなくその拍子に転落してしまう可能性もあるので、足腰の自由がきかなくなったシニアのペットにはケガのリスクが高い場所です。
2階以上あるご家庭ではペットの生活が1階のみで済むように、早いうちから寝床やご飯の場所を移動させたりペットゲートを利用したり工夫しましょう。
ペット介護4:寝たきりへの対応
シニアのペットの中には自力で歩くことが困難になり、いわゆる「寝たきり状態」になる子も多くいます。
寝たきりの子は自分で寝返りを打つこともできないため、そのままにしておくと皮膚の血流が悪くなり「床ずれ」ができてしまうのです。
床ずれは赤くなった時点ではそこまで痛みは感じませんが、いずれ皮膚がむけると痛い強みに襲われます。
シニアのペットは皮膚の治りも遅いため、“床ずれができる前に”人の手で定期的に体勢を変えてあげる必要があるのです。
また、寝たきりの子の場合はトイレも基本的にはその場で行います。
オムツを使ったりベッドにペットシーツを敷いたりなど方法はさまざまありますが、どちらにしてもこまめにお手入れを行い清潔に保つ必要があります。
ペット介護5:認知症の対応
犬や猫のペットたちも人と同じく、シニアになり認知症を発症する子も珍しくありません。
ペットの認知症は、昼夜逆転する・夜鳴きが増える・名前に反応しなくなる・部屋の中を徘徊するなどの症状が一般的です。
また、今まで出来ていたことが出来なくなったりトイレの失敗が増えたりもするので、お世話をする飼い主さんには心身ともに大きな負担となってしまう場合も多くあります。
認知症のペットに大切なのは、脳への刺激を増やして病気の進行を遅らせることです。投薬などの治療と併せて、ご家庭でもお散歩のルートに変化をつける・外出の機会を増やす・コミュニケーションの時間を増やすなどの対応を行いましょう。
3.介護はペットと飼い主の幸せのために
ペットの介護の種類についてお話しました。
今回ご紹介したものはごく一部で、ペットの介護には他にも散歩時のサポート・グルーミングなどさまざまなものがあります。
そのため、いくら体の小さな犬や猫であっても人の介護同様、介護を行う家族の精神的・体力的負担となることも珍しくありません。
「家族なのだから自分で世話を行わないといけない」と思い込む飼い主さんはとても多いのですが、全てを家族だけで抱え込む必要はありません。
介護の目的は、ペットが最期の時まで幸せに暮らすためですが、それには飼い主さんの幸せも必要不可欠であることを忘れないでください。
双方がずっと幸せに暮らすため、ペット介護は頑張りすぎず、力を抜けるところを抜きつつ行いましょう。
今は「介護はまだ先」というご家庭も決して無関係な話ではありません。
「いつか来る未来」と考えて、時間のある時にペット介護グッズを見てみたり近所のシッターサービスを調べてみたりしてくださいね。
健康, 健康